株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ及びその傘下子会社等を含めた企業グループ(以下、総称して「当グループ」といいます。)は、次のとおり利益相反管理方針を定め、当グループが関与する取引について、お客さまの利益と当グループの利益、又はお客さま同士の利益が競合・対立することなどにより、お客さまの利益を不当に害することがないよう、利益相反の弊害防止に取り組みます。また、MUFGフィデューシャリー・デューティー基本方針に基づき、お客さま本位の業務運営を実現することができるよう、万全をつくしてまいります。

第1章 利益相反

1.利益相反

利益相反とは、お客さまの利益と当グループの利益、又は当グループが義務を負っている複数のお客さま間の利益が、競合・対立する状況等をいいます。

こうした利益相反は金融コングロマリット化の進展や多種多様な金融取引によって日常的に生じておりますが、当グループ内の利益相反による弊害を防止するため、適切な経営管理態勢やコンプライアンス態勢を構築してまいります。

第2章 銀行法及び金融商品取引法等に基づく利益相反管理

1.利益相反による弊害のおそれがある取引の特定・類型化

当グループは、以下に掲げる状況が発生しやすい業務で、管理が必要な業務等(以下、「管理対象業務」といいます。)を予め特定・類型化し、利益相反の弊害のおそれがある取引について、レピュテーショナル・リスクにも留意し、管理を行います。

  1. (1)当グループがお客さまへ助言業務を提供している場合等、お客さまが自身の利益が優先されると合理的な期待を抱かれる状況
  2. (2)当グループがお客さまとの取引で得た情報を利用することにより、市場等で不当に利益を上げるおそれが高い状況
  3. (3)当グループとお客さまとの取引に伴い、レピュテーショナル・リスクが生じるおそれの高い状況

管理対象業務の代表例は、以下のとおりです。

  • M&Aに関する業務
  • 資産・債権流動化に関する業務
  • シンジケートローンに関する業務
  • プリンシパルインベストメントに関する業務
  • 株式・債券引受に関する業務
  • 社債管理に関する業務

管理対象業務のうちM&A及び引受に関する業務で、利益相反の発生するおそれがある取引例は以下のとおりです。

〔M&Aに関する業務〕

  • M&Aの買手側と売手側の双方に対してアドバイザリー業務を行う場合。
  • 同一のM&Aにおいて競合する複数の買手候補に対してアドバイザリー業務を行う場合。
  • M&Aにおいてアドバイザリー業務を提供するお客さまの取引相手方が当グループとなる場合。
  • M&Aにおいて売手側に対してアドバイザリー業務を行いつつ、単独又は複数の買手候補に対して自己又はそのグループ金融機関等が融資を行う場合。

〔引受に関する業務〕

  • お客さまが資本市場での資金調達を行う際、その主幹事を務めつつ、自己又はそのグループ金融機関等が当該事業会社に対して融資を行っている場合。
  • お客さまが資本市場で調達した資金がM&Aの買収資金に充当される場合において、その主幹事を務めつつ、当グループが当該M&Aの売手側にアドバイザリー業務を提供する場合。

2.利益相反管理の対応を要する会社

当グループのうち、管理対象業務を行う会社を、利益相反管理の対応を要する会社とし、管理体制を整備いたします。

対象となる会社の代表例は、以下のとおりです。

  • 株式会社三菱UFJ銀行
  • 三菱UFJ信託銀行株式会社
  • 三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社
  • auカブコム証券株式会社

3.利益相反の管理体制

当グループでは、法令上利益相反管理体制整備義務を負う会社に利益相反を管理・統括する部署を設置し、利益相反を一元的に管理いたします。
また、利益相反の管理に関する法令その他の規範を遵守し、態勢整備を継続的に行ってまいります。

4.利益相反の管理方法

当グループは、以下に掲げる方法を適切に組み合わせること等により、利益相反による弊害を防止し、お客さまの利益を不当に害することがないよう取り組んでまいります。

  1. (1)利益相反による弊害のおそれのある取引を行う部門(会社)を他の部門(会社)から分離する方法
  2. (2)利益相反による弊害のおそれのある取引の一方又は双方の条件又は方法の変更、又は取引の一方を中止する方法
  3. (3)利益相反による弊害のおそれがあることのお客さまの同意の取得またはお客さまに開示する方法

第3章 MUFGフィデューシャリー・デューティー基本方針に基づく利益相反管理

当グループは、MUFGフィデューシャリー・デューティー基本方針の「4.多様なニーズにお応えする商品ラインアップの整備」及び「5.お客さまの投資成果向上に向けた運用の高度化」に基づき、以下の点等に留意しつつ、利益相反を適切に管理いたします。

  1. (1)お客さまの資産形成に資する商品選定および販売手続き等の整備
  2. (2)運用業務における独立性・透明性の確保

また、MUFGフィデューシャリー・デューティー基本方針に基づく取組みを実践する会社の代表例は、以下のとおりです。

  • 株式会社三菱UFJ銀行
  • 三菱UFJ信託銀行株式会社
  • 三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社
  • auカブコム証券株式会社
  • 三菱UFJアセットマネジメント株式会社
  • 日本マスタートラスト信託銀行株式会社
  • 三菱UFJ不動産投資顧問株式会社

以上

三菱UFJ信託銀行の利益相反管理態勢について

三菱UFJ信託銀行では、信託銀行として銀行業務に加え資産運用・管理、不動産、証券代行、相続関連業務など、幅広い商品・サービスをお客さまに一体的に提供していることに鑑み、上掲のMUFGグループ共通の方針である「利益相反管理方針」の下、情報遮断態勢(チャイニーズ・ウォール)等による徹底した利益相反管理を行っています。
態勢面では、コンプライアンス統括部を利益相反管理の主管部署として、利益相反管理態勢の整備・利益相反のおそれのある取引のモニタリング等を行うとともに、役職員に対する研修を継続的に実施し、利益相反に繋がるような行為の防止、お客さま本位のカルチャーの醸成に注力しています。
また、取扱の頻度が相応に高い、およそ100種類の業務・商品の類型について、あらかじめ想定され得る利益相反関係と当該利益相反への対応方法を規定した「利益相反対応マニュアル」を整備し、役職員が利益相反の存在と弊害の防止方法につき認識し、的確に対処し得る態勢を整えています。
なお、利益相反管理の主管部署による態勢高度化やモニタリング結果については、社長以下を委員とするコンプライアンス委員会を通じて経営会議・監査等委員会に報告し、社外取締役からも指導を受ける態勢としています。

さらに、こうした態勢に加え、運用機関としてのガバナンス強化の観点から「スチュワードシップ委員会」を、「MUFGフィデューシャリー・デューティー基本方針」徹底の観点から「フィデューシャリー・デューティー推進委員会(以下「FD推進委員会」)」を設置し、お客さま本位の取組の更なる徹底を図っています。両委員会の概要および利益相反管理に係るガバナンス態勢は以下の通りです。

スチュワードシップ委員会

当社が信託銀行として上場企業等との取引関係があることを前提に、運用機関としてのガバナンス強化の観点から、受託財産運用における議決権行使や投資行動が、投資家の利益最大化を確保するためのものとなっているか検証するために設置。

フィデューシャリー・デューティー推進委員会

「MUFGフィデューシャリー・デューティー基本方針」の下、お客さま本位の取組を徹底し、顧客目線の"ベスト・プラクティス"を追求すべく、金融庁が公表した「顧客本位の業務運営に関する原則」への対応に加え、利益相反管理の高度化にも取り組んでいくべく設置。

<利益相反管理に係るガバナンス態勢>

(ご参考)利益相反が起こりうる典型的な事例と三菱UFJ信託銀行における弊害防止対応

受託財産運用

<起こり得る利益相反の例>

  • 受益者である投資家のために投資判断(売買、議決権行使)を行わなければならない受託財産運用部署の義務と、企業との取引関係を優先し、企業に有利な投資判断を行ってほしいと考える法人向け営業部署の意向が対立

<弊害防止のための対応例>

  • 当社内に法人向け営業部署からの不当な情報共有や影響力行使を遮断するためのウォールを構築。受託財産運用部署は自らのリサーチや分析に基づき、運用ガイドライン、議決権行使ガイドライン等に即した投資判断を実施する。
  • 法人向け営業部署と受託財産運用部署間の接触制限に関するルールや人事異動を制限するルールを設けるとともに、運用モニタリング・コンプライアンス部署等による投資行動ならびに法人向け営業部署と受託財産運用部署間のコミュニケーションに対するモニタリングを実施する。

不動産アセットマネジメント

<起こり得る利益相反の例>

  • 不動産ファンドの運営に関し裁量を有し、ファンドの利益を優先しなければならないAM(アセット・マネジャー)の義務と、ファンドの利益では無い当社内の他部署等の利益を図りたい当社の意向が対立

<弊害防止のための対応例>

  • 不動産ファンドとの不動産売買や賃貸借、出資、貸出等において、利益相反が懸念される取引等につきAMとしての判断・指図をする際は、ファンドの利益が不当に害されることにならないか、コンプライアンス部署による検証を受ける。

手数料

<起こり得る利益相反の例>

  • 金融商品を販売する信託銀行が、顧客への販売・推奨等に伴って、当該商品の提供会社から、委託手数料の支払を受ける場合に、信託銀行の利益とお客さまの利益が対立
  • 金融商品を販売する信託銀行が、同一グループに属する別の会社から提供を受けた商品を販売・推奨等する場合に、商品提供会社A(グループ会社)の利益とお客さまの利益が対立

<弊害防止のための対応例>

  • 商品特性に応じて、収受する手数料をお客さまに開示し了解を得ることや、手数料の高い商品、系列運用会社の商品販売に傾注することに対するコンプライアンス部署によるモニタリング等による適切な販売体制を確保する。
  • 適切な取扱商品の選定プロセスの構築と商品選定プロセスに対するコンプライアンス部署の参画により妥当性の確認や検証を行う。

グループでのM&A関連ビジネスの展開

<起こり得る利益相反の例>

  • 買収側の企業Aと被買収側の企業Bのそれぞれに対し、MUFGグループ内の会社がアドバイザリー契約等を結び、企業AおよびBに対し負う義務が対立
  • 企業Bを買収したいと考え、競合関係にある企業Aと企業Cのそれぞれに対し、MUFGグループ内の各社がアドバイザリー契約等を結び、企業AおよびCに対し負う義務が対立

<弊害防止のための対応例>

  • M&A関連ビジネス(アドバイザリー、ファイナンス等)を契約するに際しては、事前にMUFG利益相反管理室にコンフリクトチェックを実施。同室は、グループ各社の取引状況等を確認するなどし、必要な弊害防止策(契約締結の中止、情報遮断等)実施の指示を各社宛行う。

以上